研究内容

 喘息・咳嗽・COPD・気道系・呼吸中枢系研究

アレルギー性疾患、気道系疾患、呼吸困難感、換気応答障害、睡眠時呼吸障害をきたす疾患は、 患者症例数が多く医学的にも社会的にも重要な疾患である。 これらの疾患の問題点を臨床研究 および基礎研究にて解決して診断と治療に還元することを目的とする。

研究室

 臨床的研究

  • 1.喘息の急性増悪時における短期ステロイド内服によるレスキュー効果の研究
  • 2.喘息の慢性化因子の研究
  • 3.喘息の重症化・慢性化にともなう気道の不可逆的病態の解析とその予防
  • 4.アスピリン喘息の発症機序と診断の研究
  • 5.COPDおよび喘息のQOLを改善するための研究
  • 6.喘息と類似疾患の診断の研究
  • 7.慢性重症喘息の治療に関する研究
  • 8.喘息における呼気NO(一酸化窒素)濃度の有用性の研究
  • 9.喘息の長期管理におけるステップダウンの研究
  • 10.睡眠時無呼吸症候群の病態と治療に関する研究
  • 11.呼吸調節における中枢神経系と末梢神経系の役割の研究
  • 12.喘息の呼吸困難感についての研究

 基礎的研究

  • 1.上皮内Tリンパ球の動態
  • 2.喘息患者リンパ球の気道組織への接着機能・ホーミングの研究
  • 3.アレルギー性気道炎症モデルマウスにおけるリンパ球ホーミングの研究
  • 4.喘息における気道リモデリングの研究
  • 5.喘息における樹状細胞の役割及び抗原提示細胞とT細胞の相互作用について
  • 6.喘息における自然免疫の関与の研究

 呼吸管理に関する研究

近年、呼吸療法に関する機器や技術の進歩によって、より安全な呼吸管理を行うことができる ようになってきた。当科では病棟内呼吸サポートチーム(RST)の活動を通じて、また、院内集 中治療部(ICU)と連携して研究を行いながら、さらに適切な呼吸管理を目指している。また、 症例のデータを集積し解析することによって、経過や予後に影響を与える重要な因子を同定し、 臨床に役立てる研究を行っている。

呼吸管理

 臨床的研究

  • 1.人工呼吸ウィーニングの適正化についての研究
  • 2.全身麻酔下手術前の低肺機能が術後経過に与える影響についての研究
  • 3.人工呼吸管理中のグラム陰性桿菌による難治性気道感染症に対するトブラマイシン吸入療法の有用性についての検討
  • 4.人工呼吸管理を行った間質性肺疾患患者に対するPMX-DHP療法の検討
  • 5.呼吸器疾患患者における夜間SpO2モニタリングの有用性の検討
  • 6.びまん性肺胞出血に対する呼吸管理法の検討
  • 7.術前肺機能の術後管理に与える影響に関する研究

 肺癌研究

肺癌の発症、進展に関して分子生物学的手法を用いた基礎的研究によって解明を進め、得られ た成果を臨床へ生かす。 そして、ますます多岐化する肺癌診療の問題点を明らかにするための臨 床研究を積極的に展開する。特に、WJOG(西日本がん研究機構)、LOGIK(九州肺癌研究機構) などの臨床試験グループに参加し、新しいエビデンスの構築のため積極的に臨床試験を行っている。
また熊本で独自にKTOSG(熊本胸部腫瘍研究機構)という研究グループを作り、分子標的薬や高齢 者治療の分野で複数の臨床試験を行っている。薬剤部と共同でこれらの試験において血中濃度や関 連遺伝子の解析を行い、新たなバイオマーカーの探索を目指している。
一方で、大半の肺癌患者は根治が得られず、終末期を迎えるのが現状である。当科では、2006年 から呼吸器内科病棟緩和ケアチームを結成し、当科医師と呼吸器内科病棟看護師が週1回カンファレ ンスを行い、全人的な緩和医療を提供できるよう努めている。また、対象患者のほとんどが肺癌患 者である特性を生かし、看護師とともに下記のような臨床研究にも取り組んでいる。

肺癌研究

 臨床的研究

  • 1.高齢者肺癌における併用化学療法の有用性、血中濃度、関連遺伝子の解析
  • 2.分子標的治療薬における有効性、血中濃度、関連遺伝子の解析
  • 3.高齢者非扁平上皮肺癌に対するCBDCA+PEM併用療法の多施設共同第Ⅰ/Ⅱ相試験 (KTOSG 1002)
  • 4.EGFR遺伝子変異状態既知のEGFR-TKI未治療再発・進行非小細胞肺癌に対するエルロチニブの有効性と安全性の検討 - Phase II study –(KTOSG1001)
  • 5.進行・再発非小細胞肺癌患者におけるBevacizumabの有効性とVEGF関連遺伝子群の相関解析(KTOSG1003)
  • 6.呼吸器終末期患者に対するpalliative sedation
  • 7.肺癌患者におけるせん妄について

基礎的研究

  • 1.肺癌細胞におけるEGF受容体遺伝子の変異とEGF受容体リン酸化阻害薬の効果に関する研究
  • 2.肺癌細胞におけるPI3K遺伝子発現と予後に関する研究
  • 3.癌抑制遺伝子WARTに関する研究
  • 4.肺癌免疫療法(ペプチドワクチン療法)の開発に関する研究

 びまん性肺疾患(間質性肺疾患)・急性肺損傷に関する研究

難治性呼吸器疾患の一つである間質性肺炎の診断については、新規血清マーカー(KL-6やSP-D) の登場やHRCTによる画像診断の確立により大きく進歩したが、それでも診断に苦慮する症例もあり、 その際には外科的肺生検によるアプローチが必須となる。治療に関しては、エビデンスレベルで確立 されたものは少なく、一般的にはステロイド剤や免疫抑制剤投与を行うが、急性型で難治性かつ重症 呼吸不全を伴う際には、呼吸管理を含めた集学的治療に加えてポリミキシンB固定化繊維カラムを用 いた血液浄化療法(PMX-DHP療法)を行い、一部にその有効性を確認している。難治性疾患の特発 性肺線維症に対しては、2009年から抗線維化剤(pirfenidone)の投与が可能になり、その効果が 期待されている。また、近年、triple kinase inhibitor(BIBF1120)やPC-SOD吸入治療などの 臨床試験が遂行中であり、今後の特発性肺線維症の治療への応用が期待されている。若年者で高度の 呼吸不全を伴う場合には、肺移植認定施設と連携し移植治療への道筋をたて、術後に社会復帰できる ようにサポートしている。ARDSは未だ致死率も高い急性呼吸不全を呈する症候群である。近年、 ARDS networkを中心とした大規模な臨床試験が盛んに行われているが、エビデンスレベルの高い 治療法はまだ少ないのが現状である。当科ではARDSに対し、集学的治療を行うと共に、肺リクルート メント手技やAPRVなどを用い呼吸管理を行っている。
基礎的研究においては、過敏性肺炎モデルにおいて、ガレクチン9が骨髄系抑制細胞や調整性T細 胞を誘導し、発症抑制作用をもつことを既に明らかにしている。また、ARDSモデルにおいて、ガレ クチン9が炎症抑制性マクロファージを誘導し、炎症抑制作用を持つことを報告した。現在、他の疾 患モデルや実際の疾患におけるガレクチン9の果たす役割について、末梢血や気管支肺胞洗浄細胞を 用いて細胞レベルでの解析に取り組んでいる。

研究器具

 臨床的研究

  • 1.特発性間質性肺炎における血清マーカー(KL-6, SP-D)とHRCT所見の解析
  • 2.特発性肺線維症合併非小細胞肺癌に対する周術期pirfenidone療法の効果と安全性に関する第II相試験「PEOPLE study」(WJOG 6711L)
  • 3.治療抵抗性の急速進行型間質性肺炎に対するPMX-DHP療法の効果の検討
  • 4.難治性膠原病関連間質性肺炎の治療に関する研究
  • 5.間質性肺疾患の難治性続発性気胸に対する自己血注入療法に関する検討
  • 6.肺リンパ脈管筋腫症におけるVEGFの臨床的役割の検討
  • 7.気腫合併間質性肺炎の病態に関する研究

 基礎的研究

  • 1.サルコイドーシスにおけるガレクチン9のTh1免疫応答の制御機構の解析
  • 2.肺障害に対する血液浄化療法におけるガレクチン・骨髄由来免疫抑制性細胞の役割の解明
  • 3.ガレクチン9による炎症調節細胞誘導に関する研究
  • 4.ガレクチン9によるARDSや肺線維化への治療効果の解析
  • 5.自己免疫疾患におけるガレクチン9の役割に関する研究

 呼吸器感染症に関する研究

21世紀においてもなお感染症は診療上重要な位置を占めており、呼吸器内科領域でも高齢化社会 への移行により肺炎死亡が再増加(2011年には死亡原因の第3位に上昇)していること、抗癌化学 療法、免疫抑制剤、生物学的製剤等の使用拡大により日和見感染症や耐性菌感染が増加し、難治性 感染症の症例が増加していること、さらにはSARSや新型インフルエンザなど、いわゆる新興・再 興感染症流行への対策など課題が山積している。
当科では高度医療の受療者が多い大学病院の特色を活かし、院内感染、日和見感染、難治性感染 症などを中心とした臨床研究ならびに基礎的研究を行なっている。

実験風景

 臨床的研究

  • 1.当科におけるCAP/NHCAP症例に関する検討
  • 2.慢性閉塞性肺疾患(COPD)増悪に対するMoxifloxacinの有用性の検討
  • 3.院内肺炎発症における制酸剤、胃粘膜保護薬の関与の検討
  • 4.緑膿菌性難治性気道感染症に対するトブラマイシン吸入療法の検討
  • 5.市中感染型MRSAの症例の集積
  • 6.誤嚥性肺炎の病態解析

 基礎的研究

  • 1.新規N-アシルホモセリンラクトナーゼ(AiiM)による緑膿菌の病原性制御
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